スウェーデンの大手家具チェーン「イケア」の韓国1号店で、店内で使用するために用意されている「鉛筆」を買い物客が大量に持ち帰っていると、2015年2月10日ごろから複数の韓国メディアが報じている。
韓国国内では、「国の恥さらし」などとこの行為を問題視する人も増え、議論が活発になっている。
「20~30本をバッグに入れる客を見た」
韓国1号店「イケア光明店」は2014年12月中旬にオープンした。売り場面積5万9000平方メートルの大型店舗だ。初日には客が殺到して長蛇の列ができ、2か月経った現在も相変わらず賑わいをみせている。
そうした中、一部客による「度の過ぎた行為」を複数の韓国メディアが報じている。イケア各店では客が商品を見ながら買い物リストにメモできるようミニ鉛筆を用意しているのだが、これを大量に持ち帰る人が続出しているというのだ。15年2月10日付の毎日経済新聞は「20~30本をバッグに入れる客を見た」などの目撃情報を伝えるとともに、韓国店がスウェーデン本社に鉛筆の発注をかけたことを報じた。
そもそも鉛筆は持ち帰っていいものなのか。イケア・ジャパンの広報担当者によれば「店内で使用した鉛筆を持ち帰っても特に問題はありません」とのことで、各国共通のルールだという。店舗によっては返却ボックスを用意している場合もあるが、持ち帰りたければ返す必要はないそうだ。だが、いくら「持ち帰りOK」だとしても、「大量に」となれば話は別だろう。ちなみに「日本ではそうした問題は起きていません」という。
さらに韓国では、持ち帰った鉛筆を中古品売買サイトで売りに出した人物のことも話題になっている。2月15日付の朝鮮日報電子版によれば、この人物は「5回も使っていません。状態は良好。北欧の感性が感じられる鉛筆、売ります」との文句とともに1本3000ウォン(約325円)で販売したそうだ。
これらの報道に加え、SNSでは「通常の国の2年分に匹敵する在庫が3か月経たずしてなくなった」「韓国店では鉛筆を置くのを取りやめた」といった噂も流れた。そうしたことから韓国国内では「国の恥さらし」「市民意識の低さに驚く」などと批判の声が多々上がり、持ち帰った客らを激しく非難する意見も飛び交っている。
軽食コーナーで「タマネギを詰めまくる」客も
もっとも、SNSで拡散した噂については否定する報道も出ている。また「持ち帰って売った」という例も韓国に限った話ではなく、たとえばオークションサイト「eBay」を見ればアメリカやギリシャからも出品がある(2月16日時点)。
それでも、今回の騒動に関する議論は依然続いている。韓国における「大量持ち帰り」が問題になったのは、今回に限った話ではなく、議論が盛り上がる素地があったようだ。
朝鮮日報電子版(2月15日)によれば、同様の事例は倉庫型ディスカウントストア「コストコ」店舗の軽食コーナーでも見られた。ホットドッグ用のタマネギが好きなだけ使用できることから、ビニールパックや密閉容器を持ってきて大量に持ち帰る客がいて、今回と同様に批判を浴びているそうだ。韓国のツイッターでも、同種の目撃情報が寄せられている。