27万人の個人株主に支えられているマック株
日本マクドナルドHDの株価が下がらない理由の一つに、「浮動株が少ない」との指摘がある。米マクドナルド本社と、27万人もの個人株主が発行済み株式の9割近くを占めていて、ほぼ「固定」されているためだ。
そんな個人株主の「お目当て」は、株主優待券とされる。全国のマクドナルドで使える「お食事券」がそれ。サンドイッチ、サイドメニュー、ドリンクの商品引換券が6枚ずつで1冊、100株で1冊もらえる。
マック株を保有する、ある個人投資家は「ハンバーガーやポテトなどが、S・M・Lのサイズを気にせずに選べるので使い勝手がよく、子どもとちょっと食べに行くのには便利」と話す。
マック株は、こうした多くの個人株主が株主優待券ほしさに手放さないので売り崩れるようなことが少ないようなのだ。
あるベテランの個人投資家は、「マックは初心者向けの株」と指摘する。「株主優待券がほしくて買う人は少なくないし、(証券会社なども)勧めやすい」と話す。実際に、年初来高値(2965円)をつけた2014年6月も、「株価の上昇要因は、株主優待の権利どりの期日(6月末)が迫っていたため」とみられていた。
赤字に転落したとはいえ、内部留保(利益余剰金)は13年12月末に比べて258億円減ったものの、843億円(14年12月末)を保有する。
また、前出のベテラン投資家は、信用売りの残高(量)が比較的多いことに注目している。「売り」の量が多いということは、いずれ買い戻さなければならない、「買いの量も多くなるはず」だからだ。
さらには、大株主である米国のマクドナルド本社の支援に期待する向きもある。
ただ、肝心の米国本社も2014年は世界の既存店売上高が12年ぶりにマイナスに陥るなど、苦境に立たされている。赤字決算で、今後は多くのフランチャイジー(FC)が「離反」するとの懸念もある。株価への不安材料がなくなったわけではない。
マック株を保有する、前出の個人投資家は「(自身もそうだが、12月末の)権利が確定したばかりなので、まだ手放していないというだけの人が多いのではないでしょうか」とも話している。