「育児・介護休業法に配慮して進めています」
とはいえ、ネット上では、ルネサスの女性社員2人は群馬県に引っ越しをすればいいのではないか、との疑問も出て、論議になっている。
育児・介護休業法の第26条では、社員を転勤させるに当たって子育てに配慮すべきだと規定している。赤旗によると、女性社員2人は、労組の電機・情報ユニオンに加入し、その支援を受けて、厚労省東京労働局の雇用均等室に違法性があると申し立てをした。赤旗の記事では、雇用均等室はそれを受けて、ルネサスに2人の転勤命令を撤回するよう、4回にわたって助言・指導をしたとしている。
これは本当かどうか取材すると、雇用均等室では、「個別案件については、申し立てがあったかも含め、お答えできません」とだけ答えた。ただ、一般論としては、場合によって助言・指導はするものの、26条は努力義務であって、こうしなければいけないという具体的内容はなく、罰則もないという。
ルネサスの広報担当者は、助言・指導を受けたかについては、把握していないとしたが、「育児・介護休業法を考え、個別の事情に配慮しながら進めています」と取材に説明した。個人に関わる話はできないとしたうえで、「初めに異動ありきではなく、働く場がなくなるので転勤してもらうということです」という。今回は、会社立て直しの一環として設計機能を再編して高崎事業所に部門を移し、部門の全員に転勤を提示しており、「どうしても転勤できない人には、受け皿として早期退職優遇や再就職支援を行っています」と言っている。