作家で保守論客の1人として知られる曽野綾子氏が2015年2月11日付の産経新聞に寄せたコラムが物議をかもしている。
コラムは、労働移民の受け入れに関して資格や語学力の障壁を取り除くべきだとする一方で、南アフリカの事例をもとに「居住地だけは別にした方がいい」と主張する内容だ。これに対し、一部の読者が「アパルトヘイトを肯定してる」「はっきりと差別を肯定する文章」などとツイッターで反発を広げている。
「居住区だけは、白人、アジア、黒人というふうに分けて住む方がいい」
コラムによると、若い世代の人口が減少する日本では「労働力の補充のためにも、労働移民を認めねばならないという立場に追い込まれている」という。そのため介護の現場では、「今よりもっと資格だの語学能力だのといった分野のバリアは、取り除かねばならない」と訴える。こう議論を展開する中で、
「ここまで書いてきたことと矛盾するようだが、外国人を理解するために、居住を共にすることは至難の業だ。もう20~30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」
と唐突に問題提起した。
発言は、人種差別廃止以降、黒人も入居するようになったヨハネスブルグのあるマンションでの事例を根拠にしている。そこでは大家族主義の黒人たちが身内を集めて1室あたり20~30人で住み始めたため、建物の水が確保できなくなり、白人たちは逃げ出したというのだ。「爾来、私は言っている。『人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい』」とコラムを締めくくった。
これに一部の読者が反応し、ツイッターには「アパルトヘイトを肯定してる」「これって人種差別だろ!」と反発する投稿が広がった。