最終損益を50億円の黒字から20億円の赤字に修正
ここで終われば、こわもての国税当局に業者が屈するという、毎度の構図だが、今回、サッポロが「返還請求」という思わぬ反撃に出て、世間の注目を集めたというわけだ。
この背景には、今回の追徴が、サッポロの経営に大きな影響を与えたことがある。持ち株会社のサッポロホールディングスは2014年12月期連結決算見通しで最終損益を50億円の黒字から20億円の赤字に修正した。これは2月上旬に収益改善などで3億円の黒字に改めて修正されたが、当初の赤字修正は業界に「利益が吹き飛んでしまう」と衝撃を与えたのは記憶に新しい。
今回の返還請求が「民間企業VS国税当局」という分かりやすい構図とあって、ネット上では「サッポロの反撃か。がんばれ」「国は企業の邪魔ばかり」などとサッポロを応援するコメントが並ぶ。その一方、「税率に差をつけすぎて何がビールか分からんようになった」「税率が低く、ビール以外ばかりが開発されてないか」といった酒税の問題点を指摘するコメントも散見される。
2014年のビール類の課税済み出荷量は10年連続の前年割れを記録し、市場縮小に歯止めがかからなかった。唯一売れ続けていた第3のビールも初めて前年比マイナスへと転落。政府はビール類の税率見直しを目指しており、海外からは日本のビール市場に対する改革圧力も強まっている。
国税当局は当時の極ZEROの製法や原料について調査するものとみられるが、その結果によってはサッポロが新たなアクションを起こす可能性もあり、今後の展開が注目される。