アイヌの人たちを1つの民族と捉えるかを巡って、漫画家の小林よしのりさんと精神科医の香山リカさんが月刊誌などで白熱した議論を繰り広げている。そこでは、かなりエキセントリックな発言も出ている。
「アイヌ民族はもういない」などと札幌市議が2014年8月にツイートしたことをきっかけに、アイヌ問題の論議はネット上などでも続いている。
香山さんは、「意見を撤回してもらう」と挑発
小林よしのりさんは、札幌市議と同様な主張をしており、これに対し、香山リカさんは、月刊誌「創」15年1・2月合併号で対談を呼びかけた。これに小林さんが応じて、2月7日発売(首都圏など)の3月号で、17ページもの長文の「激論」が掲載された。
「小林さんに意見を撤回してもらうために今日は来ました」。香山さんは、1月15日に行われた対談の冒頭から、こう宣戦を布告した。こんな状況から、2時間の予定が3時間を超えるほどの議論になったという。
香山さんは、「アイヌは利権を得るための成りすましだ」などとデマが流され続けているとして、こうしたヘイトスピーチをする人たちが拠り所にしているのが小林さんだと主張した。一方の小林さんは、「なんでわしが」と苦笑したが、香山さんは、アイヌは民族であることを認めてもらいたいと小林さんに迫った。そうしない限り、対談から帰れないというのだ。
小林さんは、「ムチャクチャなこと言うなあ」とあきれながらも、アイヌの血は薄まっており、だれも日常的にアイヌ語を話さないとして、やはり民族とは認められないと説明した。これに対し、香山さんは、民族かどうかは主観的な帰属意識から決まるのが世界的な流れだとして、アイヌ協会に戸籍などから認められれば客観性もあると述べた。すると、小林さんは、「そんな主観的な話で日本は多民族国家だとか言ったって、どうにもならない」「アイヌ系の日本人がいるということで、その文化を大事にすればいい」などと反論して、議論は平行線のまま続いた。