世界レスリング連合(UWW)が検討している、女子レスリングのユニフォーム変更案に対し、オリンピック3連覇中の・吉田沙保里選手(32)が「本当にNGです、絶対に嫌です」と真っ向から異を唱えている。
上下一体型のこれまでのユニフォームから、上下が分かれたセパレート型などへの変更が検討されており、女王は「ポロリしちゃう」と反対理由も明かす。ファンからは「(変更案は)セクハラ」などと、吉田選手を支持する声も上がっている。
「試合に出たくないとか、やめる人が出てくる」と懸念
2015年1月16日、スイスに本部を置くUWWはマットやユニフォームの変更案を発表した。伝統的な赤と黄色のマットを暗い青とオレンジに、審判のユニフォームをスーツ姿からポロシャツにするなど、「ネットやテレビでの観戦を改善するため」と説明している。
とりわけ物議をかもしているのが女子のユニフォームだ。これまでのユニフォームは、男女とも肩から足までを覆うシングレットと呼ばれる上下一体型だった。しかし、日本レスリング協会によると、女子はビキニのようなセパレート型、短パンにスパッツ型、背中の空いた一体型などが検討の俎上に上がっているという。いずれもこれまでに比べて、肌の露出が大きく増えるものばかりだ。
UWWのネナド・ラロビッチ会長は発表の中で、「観客に対し、レスリングはより魅力的にしなければならない」と語る。「伝統的なシングレットは、実際にジムでは誰も着ていない。ユニフォームは、選手やファンが誇りを持って着られるものになってほしいと考えている」と考えを述べた。理事会によって年内に承認される可能性があるとしている。
これに真っ向から反対するのが吉田選手だ。2月8日、著書『明日へのタックル!』(集英社)のサイン会を行った都内の書店で
「なんでセパレートにする意味があるのかな。どっかに引っかかったらポロリしちゃうんで。本当にNGです、絶対に嫌です」
と変更案に疑問を投げかける。実際に過去の試合では、相手選手の指が引っかかり、ユニフォームがずれたことがある。
記者からどこまで許容できるか聞かれると、
「今以上はない。今がいいです、今がセーフ」
と断言。UWWが発表に際し、女子レスリングの認知向上、女性参加を高める、としたのに対し、「試合に出たくないとか、やめる人が出てくる。レスリング人口は減ると思います」と真っ向から対立している。