政府の「シリア渡航阻止」に賛否両論 「事前に言う必要あったのか」の声も

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   シリアへの渡航を計画していた男性カメラマンに対し、外務省が2015年2月7日、これを阻止するため旅券を返納させた問題が波紋を広げている。

   「渡航の自由」「表現の自由」への侵害として批判が相次ぐ一方、外務省の対応を支持する声、あるいは事前に渡航を宣言していたことなどに疑問を呈する向きもある。

朝日新聞インタビューなどでシリア行き表明

杉本さんのものとみられるYouTubeアカウントより。過去のシリア取材などの様子が投稿されている
杉本さんのものとみられるYouTubeアカウントより。過去のシリア取材などの様子が投稿されている
「これは報道の自由とか、取材の自由とか、表現の自由とか、渡航の自由とか......に関わる問題じゃないんですか? 基本的人権の問題でもありますし。権利を奪うことになるんじゃないんですかって(外務省の職員に言ったが、職員は)『そんなことよりも、まず日本人の生命の安全が第一です』と」(FNNニュースより)

   メディアの取材に、憤りを隠さず答えたのは、新潟市在住の杉本祐一さん(58)だ。

   杉本さんは30年来フリーのカメラマンとして活動、紛争地取材のキャリアも長く、2003年のイラク戦争時には、自ら「人間の盾」の一員となった経験もあるという。

   2012~13年には、ISIL(イスラム国)に殺害された湯川遥菜さんが活動を共にしていた武装組織「自由シリア軍」に同行し、シリアを取材した。本人のものとみられるYouTubeアカウントでは、目を撃ち抜かれ即死した市民の姿など、生々しい「戦場」を捉えた動画が確認できる。14年10月にもトルコからシリア入りを目指したが、戦闘の激しさからトルコ軍に拒まれ、果たせなかった。

   だが、杉本さんは諦めていなかった。朝日新聞(新潟版)は2015年1月25日朝刊で、杉本さんのインタビューに1000文字以上の紙幅を割いたが、その中で、「彼ら(※編注:アラブの人々)が苦しんでいるいま、何もしないで見ているわけにはいかない。私にできるのは撮影し、伝えること」と話し、2月中のシリア行きを宣言した。さらに地元紙・新潟日報にも、「27日に日本を出発」など、具体的なスケジュールを明かしていた。

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