番組収録中にヘリウムガスを吸って緊急搬送された女性アイドルグループ「3B junior(スリービージュニア)」のメンバーで12歳の少女は、依然として入院中で意識は十分に戻っていない。
テレビ朝日は番組スタッフによるガス缶の注意書きの見落としがあったと認めたが、事故発生から1週間たっての発表には疑問が残る。
「こんなヤバイ事故、なんですぐ発表しなかった?」
事故が起こったのは2015年1月28日、BS朝日「3B juniorの星くず商事」の収録中だ。少女がヘリウムガスの入った市販のパーティーグッズを吸引したところ、意識不明となり緊急搬送された。商品には「大人用」と記載されていたほか、いくつかの注意事項があったが、スタッフが見落としていたという。
同局によると、少女は当初、意識不明だったが、数日前から目を開けるなど回復の兆しを見せているという。言葉を発したり、食事を口にしたりするようになったが、今なお意識は十分に戻っていない。
2月5日の発表は緊急会見の形で行われたが、事故から1週間もたっている。スポーツ各紙によると、テレビ朝日は遅れた理由について、
「これまではっきりした原因の特定に至っていなかったことや、当初は早い回復が見込まれ、容体の推移を見守っていたことなどから公表を控えておりました」
と説明する。4日に専門医の診断結果を得ることができ、家族の了解があったため、この日の発表だったという。
グループはももいろクローバーZの妹分として活躍する注目株のアイドルだ。ファンの間では心配が広がり、
「こんなヤバイ事故、なんですぐ発表しなかった?」
「何でここまで公表が遅れたんだ 一人の少女が死にかけてんだぞ」
ともっと早い公表を望む声が多い。
その一方で、番組を担当したとみられる製作会社のサイトからはすでに番組紹介の記述が削除されたという報道があり、ファンの間ではさらに不信感が募っているようだ。
医師「大きな血管が詰まると死に至ることも」
少女が診断されたのは脳の血管に空気が入り、血流が妨げられる「脳空気塞栓症」だ。5日放送「あさチャン!」(TBS系)に出演した、東京北部病院脳神経外科の長田恒明副院長はこの病気について、
「細い血管が詰まると軽いめまいやしゃべりづらい、手足のしびれなどが起こる。大きな血管が詰まると意識不明、手足が動かないなどの症状により、死に至ることもある」
と説明する。
過去には濃度がほぼ100%の風船用ヘリウムを吸った高校生が窒息で死亡する事故が起きている。厚労省の調査によると、01年~12年の期間に変声缶で意識を失う事故は32件報告され、そのうちの大半が子どもだった。今回使われたガスは酸素が約20%入っているが、長田医師は「自己免疫や機能の弱い未成年が思いっきり吸ってしまった場合、脳空気塞栓症になる可能性はある」としている。
テレビ朝日は収録時の安全管理に問題があった可能性を認めている。警視庁は同社からの申し出を受けて業務上過失傷害の疑いで調べを進めているという。