あの経済小説のような展開に?
債券ディーラーの経験がある作家の幸田真音さんの著書『日本国債』(講談社)には、国債市場が暴落(金利は急騰)するシーンがある。そこでは国債による「借金漬け」に強い懸念を抱く、金融機関で国債を売買するトレーダーらが入札をボイコットすることがきっかけになっている。
まさかボイコットはないだろうが、2015年2月3日には現実に、国債の入札で応札が集まらないという事態に陥った。前出の国際金融アナリストの小田切氏は、そういった事態は今後増えてくるという。
国債市場での「入札ショック」は、株式市場にも「飛び火」した。東京株式市場の2015年2月3日の日経平均株価は、終値で前日比222円19銭安の1万7335円85銭と、約1週間ぶりに1万7500円を割り込んだ。
一般に、債券相場が下落すると株式相場は上がる傾向にある。債券を売って、株式を購入しようとする動きが活発化するからだが、それが崩れた。
小田切氏は、「もう教科書どおりにはいかなくなってきています。国への投資(国債)もダメ、日本企業への投資(株式)もダメという、『日本売り』のようなもの」と指摘する。
海外も含め、預金やコモディティなど、投資先はいくらでもある。そう遠くない日に、外国人投資家らの「日本売り」が起こるかもしれないというのだ。
安倍政権が推し進める経済政策「アベノミクス」の効果も、なんだか怪しくなってきたようだ。