過激派組織「イスラム国」は2015年2月4日未明(日本時間)、拘束していたヨルダン空軍のパイロット、ムアズ・カサスベ氏を焼き殺したとする動画をネット上に公開した。
これまでイスラム国は、人質を殺害する際は頭部を切断する方法をとってきたが、人質を焼き殺すのは初めてだとみられる。
公開された動画の長さは約22分で、画面の左上にはイスラム国の広報部門「フルカーン」のロゴが入っている。
イスラム教では火葬は禁忌だとみなされる
実際の殺害シーンは約2分30秒にわたって収録されている。オレンジ色の服を着て、おりに閉じ込められているカサスベ氏に対して、覆面姿の兵士が外からたいまつを使って着火。火は全身に燃え広がり、その後ブルドーザーのような車両がおりの上から土をかぶせ、おりごと踏み潰した。
ヨルダン国民の大半がイスラム教徒で、イスラム教では火葬は禁忌だとみなされることが多いとされる。こういった殺害方法をとることで、残虐さを強調する狙いがあるとみられる。
交渉中にすでにカサスベ氏は殺害?
ヨルダンのアブドラ国王は、カサスベ氏の解放を「最優先事項」だと位置付けており、ヨルダン政府はリシャウィ死刑囚との「捕虜交換」を模索しているとの見方もあった。
ヨルダン国営テレビによると、カサスベ氏は1月3日に殺害されたことを確認したとしており、交渉中にはすでにカサスベ氏は殺害されていたことになる。
ヨルダン政府は、まもなくリシャウィ死刑囚の死刑を執行する見通しだ。