当初の1万5000枚では採算ギリギリ
「東京駅開業100周年記念Suica」の人気は、その希少価値にあるとみられる。それが「プレミアム感」につながり、さらにはオークションサイトでの転売行為につながったとされる。
2014年12月20日の東京駅での発売時には、アルバイトを雇って前日から並ばせ、入手した記念Suicaを高値で売りさばく「ブローカー」もいたとされ、オークションサイトでは多くの記念Suicaが出品され、なかには数十万円という価格で落札されたものもあったという。
こうした一連の騒動を多くのメディアが取り上げたため、JR東日本にとって思わぬ宣伝になったことはあるかもしれない。
鉄道会社でICカードや記念きっぷの企画などに携わった経験のある鉄道評論家の至道薫氏は、「あの騒動が宣伝になったことはあったでしょうね。今回の申し込みが予想を上回っているのもその効果だと思います」と話す。
ただ、たしかに当初の1万5000枚は多くないが、至道氏は「SuicaなどのICカードはさほど利幅がありませんし、手間と時間がかかるので、鉄道会社はそれで儲けようとは考えていません。記念Suicaの場合は台紙もありますから、当初の1万5000枚では採算ギリギリだったと思いますよ」と推察する。
かつてのテレホンカードのように、カードの表面にプリントするというわけにはいかないようだが、それでも170万枚も売れば、儲けも出てくる。
記念Suicaの場合、1枚につき200円ほどが儲け。170万枚売れば、3億4000万円にのぼる。加えて、購入した人がチャージ分(1500円)を使わなければ、資金が歩留る。購入を申し込んだ人は、1人2枚以上買っている。1枚を使わずに手元に置いておいたとしても、十数億円にのぼる。
発行枚数が増えて、JR東日本の儲けは大きくなったようだ。