憲法の「海外渡航の自由」との兼ね合いが難しい
こういったことを背景に危険地域への渡航を法的に規制すべきだとの声が上がり始めている。自民党で2月2日に開かれた対策本部の会合でも、退避勧告に強制力を持たせるべきだという意見が出た。
ただ、菅義偉官房長官は2月2日の会見で「そうしたいろんな声があるということも政府としては承知している」述べたものの、基本的には退避勧告に強制力を持たせることには慎重だ。
「外務省が発出するこのような(海外渡航)情報というのは、国民の皆さんの安全を守るためのものであって、国民の皆さんには十分ご留意いただきたい。そういう意味合いもあり、危険なところに行くときは、外務省を通じて注意喚起しているところ。ただ、これは憲法との兼ね合いがあり、どこまでこうした注意喚起ができるかということ」
菅氏が言う「憲法との兼ね合い」とは、第22条の条文
「1.何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
「2.何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」
を根拠に、「海外渡航の自由」があると解されていることを指している。