過激派組織「イスラム国」が公開した湯川遥菜さんと後藤健二さんの「殺害動画」は、無事帰ってくることを願っていた家族に深い悲しみをもたらした。
公開から間もない中、後藤さんの兄・純一さんはNHKの取材に応じて現在の心境などを語っていた。
冒頭から関係者に感謝の意
健二さんを殺害したとする動画が公開されたのは、日本時間2015年2月1日早朝のこと。「イスラム国」が設定した人質交換の期限から2日以上経った頃だった。「肉親」の変わり果てた姿を目にした直後でもあり、純一さんの悲しみは計り知れない。そうした中で、NHKの取材に、純一さんは冒頭から感謝の言葉を口にしたのだ。
「今まで色々なことをして下さった日本国政府の皆さん、外務省の方々、それから日本中の皆さん、世界中の方々が応援してくださったことは非常にありがたいと思っております」
その上で「結果がこういうことになりまして、兄としては非常に残念に思っております。健二が生きて帰ってきて、皆さんに感謝とお礼ができることを願っていましたけれども、それが叶わないようなことになってしまったこと、非常に残念に思っています」と悔やんだ。
また、健二さんのこれまでの仕事については「誇りに思います」としたものの、「兄としては今回のことは軽率な行動だったと思います」とも指摘。取材中には「もしかしたら帰ってくるかなと思いました。でも結果的にこういうことになって、何といったらいいのかな......ごめんなさい、ちょっと、言葉が出ないのですが...」と言葉に詰まることもあったが、取り乱すことはなく、ゆっくりと言葉を紡いでいった。
多方面への配慮が感じられる純一さんのコメントは、「短く抑制されたコメントに涙を禁じ得ない」「『ごめんなさい』も『ありがとう』も肉親が殺されて悲しみに打ちひしがれてる時にはなかなか出てこない言葉だと思うなあ」などという感想とともにインターネット上で広く拡散された。