山梨県の金山博物館に男が侵入、ショーケースのガラスを割って盗んだ。「黄金の延べ棒」のはずだったが...。
ところが、実はレプリカ。被害額も2万円に満たなかった。博物館の職員は「割られたガラス代の方がかかるかも」と話している。
担当者「レプリカであることは明記している」
事件は2015年2月2日14時5分ごろ、山梨県南巨摩郡身延町の「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」で起きた。
県警によると、犯人は目だし帽をかぶった身長約170センチ、20~30代の男とみられる。博物館のエントランスそばに置いてあるショーケースのガラスを、工具のようなもので割って、金の延べ棒のレプリカ5枚を盗んだ。犯行後、男は山梨ナンバーの青の乗用車に乗って逃走。県警は強盗の疑いで行方を追っている。
同館によると、当時館内に客はなく、職員3人がいた。けが人はなく、ほかの展示品などに被害はなかった。
盗まれたレプリカは鉛製で表面に純金メッキがかけられている。同館の担当者は「ショーケースにレプリカであることは明記している。すぐに気付くと思うのだが...」という。普段は売店などで販売し、お土産などで人気だそうだ。1枚3800円で、被害額は1万9000円の計算だ。「割られたショーケースのガラス代のほうがかかるかも」と困った口ぶりだった。なお、同館内に本物の黄金品は置いていないという。
地元には「隠し金山」の伝承
湯之奥金山は戦国大名・武田信玄の「隠し金山」の伝承があり、地元の人たちに親しまれてきた。見学のほか砂金採り体験ができるため、遠足などで小学生が訪れることも多い。担当者は「事件の時に子どものお客さんがいなくてよかった」としている。