新規参入するのは難しい
そもそも信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定められている。ヤマトの主張通り、この説明は曖昧で分かりづらい。そこで総務省はガイドラインで具体例として、書状や領収書、納品書、願書、結婚式の招待状、表彰状、商品の品質証明書などを列記。一方で新聞や雑誌、カタログ、パンフレット、小切手、クレジットカード、航空券などは信書に該当しない「非信書」として例示する。
しかし、信書が存在することが問題を複雑にしているとして、ヤマトはかねてより信書という概念そのものの撤廃を訴えてきたが、総務省が首を縦に振ることはなかった。ヤマトは2013年12月に主張を改めて信書を内容物でなく、大きさで判断する「外形基準」へと規制を改革すると同時に、違反した顧客への罰則を廃止するよう総務省の審議会に求めたが、昨年秋にまとめられた規制緩和案にヤマトの考えが反映されることはなかった。
信書の配達は日本郵政グループがほぼ独占しており、さまざまな障壁があるため、新規参入するのは難しいのが実情だ。その日本郵政グループは年内にも上場することになっている。
今回の廃止の背景には、規制緩和が進まないなかで規制に守られたままのライバルと対峙していかなければならないことへのいら立ちがある。ただ、ヤマトは規制と戦って成長してきた歴史を持つだけに、今後も「生活者の利便性の向上を止めるような規制は緩和されるべき」(山内社長)と改革を訴えていく考えだ。