朝日新聞の「誤報」に新聞労連が特別賞 原発「吉田調書」報道めぐり評価真っ二つ

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   東京電力福島第1原発をめぐる、いわゆる「吉田調書」に関する朝日新聞の「誤報」の評価が、業界内で大きく割れるという異例の事態になっている。朝日新聞社は記事と見出しに誤りがあったとして記事を取り消したが、日本新聞労働組合連合(新聞労連)が毎年発表している「ジャーナリズム大賞」では、特別賞に選ばれた。

   非公開だった吉田調書の内容を明らかにした点を評価し、その後の展開についても「虚報やねつ造と同列に論じるのはおかしい」というのが、その理由だ。

授賞式には執筆した記者2人も姿見せる

朝日新聞が取り消した14年5月20日の「吉田調書」記事。評価は割れている
朝日新聞が取り消した14年5月20日の「吉田調書」記事。評価は割れている

   「ジャーナリズム大賞」は、その年に掲載された「平和・民主主義の確立、言論・報道の自由などに貢献した記事・企画・キャンペーン」に対して贈られる。2014年の「大賞」は、琉球新報と沖縄タイムスによる基地移設問題と県知事選関連の一連の報道に対して贈られ、吉田調書関連報道は「特別賞」に選ばれた。

   新聞労連では、授賞理由を

「作品として応募はなかったが、非公開とされていた調書を公に出すきっかけになったという点で、昨年1番のスクープと言っても過言ではない。特定秘密保護法が施行され、情報にアクセスしにくくなる時代に、隠蔽された情報を入手して報じた功績は素直に評価すべきだ」

と説明。選考の経緯についても

「選考委員は『虚報やねつ造と同列に論じるのはおかしい』との見解で一致した」

とした。15年1月28日に行われた授賞式には、記事を執筆した記者2人も姿を見せた。

   選考委員は、鎌田慧氏(ルポライター)、柴田鉄治氏(元朝日新聞社会部長)、北村肇氏(週刊金曜日発行人)、青木理氏(元共同通信記者、フリーランスジャーナリスト)の4人。この4人の過去の発言などを見ると「取り消しは不適切」という点で、きれいに足並みがそろっており、4人の「持論」だということが分かる。

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