「吉田調書」公開を「愚かだ」と批判 原発事故調元委員長の発言は正論なのか

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   原発事故の「吉田調書」を政府が公開したことについて、政府の事故調査・検証委員会元委員長が「愚かだ」と批判したことが、波紋を呼んでいる。

   「吉田調書」については、朝日新聞が2014年5月20日にその内容を大きく報じ、福島第1原発の故・吉田昌郎元所長が事故調に話した生々しい内容がクローズアップされた。

「封印したのに、不思議なことが起きて公開された」

   その後、各紙も次々に吉田調書の内容を報じ、朝日報道の問題点も指摘された。政府は9月11日になって、調書そのものの公開に踏み切り、朝日もこの日、誤報だったとして記事を取り消した。

   公開の理由について、菅義偉官房長官は当時の会見で、「断片的に取り上げられた記事が複数の新聞に掲載され、一人歩きするというご本人の懸念が顕在化しており、このまま非公開となることでかえってご本人の遺志に反する」と説明した。生前の吉田氏は、調書を非公開とする意向を示していたが、その後報道されてことを受けて政府が吉田氏の遺志を汲んだ形だ。

   今回これを批判したのは、政府事故調の元委員長で東大名誉教授の畑村洋太郎氏だ。

   畑村氏は、15年1月28日に開かれた内閣府の原子力委員会の会合に出席し、その中で、調書公開について「委員長の方針として封印したのに、不思議なことが起きて公開された。考え方がとても愚か」と述べた。原子力委員会では、原子力利用の指針となる「基本的な考え方」を1年ほどかけてまとめることにしており、この日から有識者の意見聞き取りを始めていた。

   こうした畑村氏の発言は、読売新聞が報じ、ネット上で、論議になった。

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