外務省の退避勧告に強制力はない
日本人のイスラム国入りを阻止することはできないのだろうか。外務省の渡航情報では、イスラム国の支配地域には退避勧告が出されているが、勧告は法令上の強制力がなく、個人の渡航を禁止したり退避を命令したりすることはできない。
また、海外渡航の自由は憲法22条などから認められている。事情聴取を受けた学生も私戦予備および陰謀罪の疑いを適用して旅券を差し押さえた形で、イスラム国入り自体を違法だとした訳ではない。実際に後藤氏をはじめ、複数のジャーナリストらが「首都」とされるラッカに入っている。
毎日新聞によると、外務省は今回の日本人女性の渡航をめぐり、旅券法第19条にある「生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」にパスポートの返納を命じることができる規定を適用しようと一時検討したという。しかし、結局は夫妻が「危険地域に行かない」と話したため断念したとされる。現状ではイスラム国入りを止めることは不可能だといえる。