個人頼みではない企業に脱皮できるか
ジャパネットたかた(旧「たかた」)は、明氏が1986年設立。カメラ店・ソニーショップとして、観光写真の撮影、現像、商品の販売などを行う会社だった。
1990年、地元のNBC長崎放送でラジオショッピングを行い、通販事業に参入。1991年には北海道から沖縄まで、全国でラジオショッピングのネットワークを完成させた。1994年にテレビに進出し、2000年にはテレビ、ラジオ、紙、インターネットの4媒体体制を構築。商品の仕入れからアフターサービスまで責任を負う「自前主義」を貫き、高齢者らから支持を得た。単にモノを売るのではなく、通販を通じて、顧客の生活を変えることをモットーにしてきた。
重責を担う旭人氏は、1979年生まれ。東大教養学部卒業後、野村証券に2年間勤務し、2004年にジャパネットに入社した。その後は商品開発本部やコールセンター、商品管理の各責任者を務め、明氏の側で「帝王学」を学んできた。父とは違い、テレビショッピングには出演せず、経営に専念するという。
ジャパネットの2014年12月期決算は、売上高が前期比8%増の1538億円、経常利益は同13%増の174億円と増収増益を達成する見通し。旭人氏は「社長が抜けるという危機感は社員にもあるが、それを乗り越えて増収増益を目指す」と意気込む。
ただ、ここまで成長を遂げられたのも、明氏の個性的なキャラクターによるところが大きい。新社長就任に合わせ、新しいロゴマークや、スローガンを発表、新生「ジャパネット」をアピールする。旭人氏が、個人頼みではない企業に脱皮できるか。手腕が問われそうだ。