女性管理職3割以上は2社にとどまる
一方、女性幹部登用は、政府が管理職など指導的な立場の女性の比率を「2020年に30%にする」という目標を定めたのを受け、経団連が「自主行動計画」を呼びかけたものだ。
こちらの実情も、2014年10月末時点の経団連の集計結果(12月10日発表)によると、約1300社の会員企業のうち30%に達しているのはスクウェア・エニックス・ホールディングスと、人材育成支援のグロービスの2社だけ。何らかの計画をつくっていたのは365社で、その58%の211社が数値目標を取り入れていたというが、211社の中で女性管理職の比率を「30%以上に増やす」と掲げた企業は19社にとどまった。
経団連によると、管理職に占める女性の割合は米国43.1%、フランス39.4%、シンガポール34.0%などに比べ、日本は11.2%と大きく見劣りし、そもそも、働く女性の6割が登用には縁遠い非正社員だという現実の壁は厚い。
「30%以上」を掲げた主な企業の取り組みを、経団連のホームページから拾うと、▽女性職員の体系的な育成プログラムを実施、男性の育児・介護参加プロジェクトの推進(朝日生命)▽女性リーダー研修、キャリアアップ研修、短時間勤務制度の拡充など両立支援(池田泉州銀行)▽両立支援制度等の利用促進、管理職を目指す女性職員向け研修等(住友生命)▽女性社員のつながりとリーダー育成を目的としたフォーラム開催(ニトリホールディングス)▽女性の法人営業業務、本部企画業務等への積極配置など職域拡大(みちのく銀行)▽フルタイム勤務への早期復帰を支援する育児制度や長時間労働の是正等(三越伊勢丹ホールディングス)――などの項目が見られる。
当面、6月の株主総会集中時期に向け、社外取締役の争奪戦が水面下で激化するとみられる。一方、女性登用は息の長い取り組みが必要。そもそも大卒女性の採用拡大が遅れ、管理職候補が不足している企業も少なくない。政府・地方自治体の子育て支援策などと連動しながら、企業が働く女性にいかにやさしい会社になるかが問われることになる。