上場企業が「社外取締役」を奪い合う 6月の株主総会に向けて水面下で活発に

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「攻め」の経営に効果

   社外取締役を置くことは、身内でのなれ合いを排し、不祥事を防止するといった「守り」だけでなく、社内とは異なった経験に基づく知恵や斬新な視点を経営に生かす「攻め」の効果も期待されている。例えばリーマンショック後に過去最大の7800億円の赤字を出した日立製作所は過去最高益を上げるまでに劇的に復活したが、社外取締役を過半数に引き上げたことが「事業の選択と集中をドラスティックに進めるために不可欠だった」(全国紙経済記者)といわれる。

   現状はどうか。社外取締役については、「コード」の基準を満たした「独立社外取締役」が複数いるのは、東証1部上場企業でも21.5%(2014年7月時点)にとどまる。社外取締役複数化のためには、東証1部だけで2000人、全上場企業で4800人の人材が新たに必要になる計算だ。

   社外取締役登用に積極的な企業でも、日立のような成功例ばかりでなく、ソニーのように業績が長く低迷している例も少なくない。社外取締役には財務省や経済産業省など官僚OBが就くケースも多く、実質的な天下り先ポストの拡大という指摘がある。

   ただ、制度が定着していけば、取締役経験者が、退任後に社外取締役に就くといった形で、慣例化していく可能性はある。「社長退任後の"再就職先"があれば、いつまでも会長や相談役に居座って"院政"を敷くような例は減るかもしれない」(全国記者)との声もある。

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