「イスラム国の内情がよく分かる」と評価も
また、番組では、イスラム国を現地取材して平穏な市民生活をリポートしたというドイツ人作家などの証言や映像も紹介した。宣伝リポーターにさせられている人質のイギリス人ジャーナリストが「空爆が原因で子供たちは大きな音をひどく嫌がります。電気も通っていて、必要な医療品が手に入ります」と紹介する映像も流された。
特集の最後では、古舘氏は「イスラム国がやっている蛮行、こんなものは許されるわけはありません」と強調しながらも、遠くの方から見ることもできるとして、「柔軟に見なきゃダメですね」と述べた。これに、朝日新聞の恵村順一郎論説委員も相づちを打ち、「イスラム国の土壌を育てたのは、幾重にも積み重なった人々の怒りなんじゃないかと思う」と漏らした。つまり、アメリカがイラクやシリアでしたことが重くのしかかっているということだという。
報道ステーションを巡っては、イスラム国問題について特集した1月23日の放送も波紋を呼んだ。
そこでは、元経産官僚の古賀茂明さんが、安倍晋三首相は、日本人の人質が犠牲になるかもしれないことを知っていながら、イスラム国を刺激するような中東支援発言をしたと指摘した。そして、イスラム国を空爆しているアメリカやイギリスの仲間に入れてほしいと思っていたのではないかとした。さらに、自分だったら、「I am not Abe」というプラカードを掲げて、「日本人は違いますよ」と主張していたともした。
もっとも、古舘氏は、「古賀さんのお考えと一緒の方、まったく違うという方、少し違う、いろいろあると思います」とはフォローしていた。
こうした報ステの報道については、ツイッターなどで、イスラム国の内情がよく分かる、政府対応のまずさを指摘した、などと評価する声はある。その一方で、イスラム国のプロパガンダ放送みたいになってるけど大丈夫か、イスラム国を利用して安倍首相批判をしている、といった疑問や批判がいくつも出ている。
こうした点について、テレビ朝日の広報部では、取材に対し、次のようにコメントした。
「1月27日放送の『報道ステーション』は、今回の人質事件発生の背景として『イスラム国』が生まれた経緯や、その組織を客観的に説明したものです。番組については日ごろから様々な貴重なご意見、ご指摘を頂いております。視聴者の皆様からも日常的に様々なご意見を頂戴しますが、具体的な内容や件数は従来公表しておりません」