「コスト削減だけでの吸収が難しい」と値上げ
不振続きの過去3年の間には、発がん性物質騒動もあった。2012年10月、韓国の大手即席めんメーカー、農心が販売しているラーメンやうどん6種類のスープから微量の「ベンゾピレン」が検出されたという。主力製品の「辛ラーメン」には含まれていなかった。ベンゾピレンは世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関が定める「発がん性物質」のグループ1に分類されるもので、韓国当局が農心に自主回収を求めた。日本の韓国食材店でも販売されており、都内の小売店では当時J-CASTニュースの取材に、陳列棚から該当商品を撤去したと話していた。
為替の変動も、マイナスに作用しているようだ。2014年12月7日付「東洋経済オンライン」の記事には、日本の即席めんメーカーが円安による原材料価格高騰や、包材・資材、物流コストの上昇に悩まされているとある。一方の韓国メーカーにとっては、通貨ウォン高により海外輸出への影響が出ているとみられる。農心ジャパンは2014年12月10日、「コスト削減だけでの吸収が難しい」として2015年3月からの商品値上げを発表した。「辛ラーメン」のメーカー希望小売価格は、税別で1袋150円から160円になる。
対日輸出の先細り傾向に歯止めがかかっていないなかでの値上げは、メーカーとしても苦渋の判断だろう。日韓での政治の冷え込みが今後も続くようなら、打開策を見いだすのは容易でないかもしれない。