「いいね」は5日間で1万3000件超える
「I AM KENJI」の運動が数日で世界的な広がりを見せたのは、非道なイスラム国に対する反発が大きいのと同時に、戦地での取材では常に弱者に寄り添っていた後藤さんの人柄が理解されているのかもしれない。例えばシリアでは、空爆を受けた街で逃げ惑う市民と、重傷者を救い出すレスキュー隊の動きをテレビ番組でリポート。危険な様子は、戦闘の最前線と何ら変わらない。現地の人々が国際社会に救いを求めている悲痛な叫びを通して、日本ではいまひとつ大きく扱われていないシリアの現状を伝えていた。
フェイスブックに「I AM KENJI」ページが開設されて以降、「いいね」の数は5日間で約1万3000件を超えた。ツイッターでもフォロワー数が増えている。
メッセージを書いたカードを持って交流サイト(SNS)に投稿することで、主張を伝える手法はこれまでにもあった。最近では、イスラム過激派の連続銃撃テロに襲われたフランスの週刊紙「シャルリー・エブド」の例がある。同紙の風刺画がイスラム教を冒とくしたとして、武装した犯人が編集部を襲撃し多数の犠牲者が出た。事件後、フランス各地で開かれた追悼集会では出席者が黒地に白抜きの文字で「私はシャルリー」と書かれたカードを持ち、犠牲者を悼みつつ連帯の意を示した。SNSにも多くの投稿があったようだ。
アフリカ・ナイジェリアで2014年4月、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」がおよそ270人の女子生徒を拉致した事件では、「少女たちを取り戻せ(BRING BACK OUR GIRLS)」というメッセージが使われた。2014年のノーベル平和賞受賞者、マララ・ユスフザイさんや米オバマ大統領夫人のミッシェルさんらが、 この言葉が書かれたカードを手にした写真を撮影、SNSに載せている。