イチローの行き場所がようやく決まった。2015年1月25日に米国メディアが伝えたものだが、レギュラー候補ではないという。
期待度は年俸が目安である。イチローとマイアミ・マーリンズの契約は、年俸200万ドル(約2億4000万円)というが、現地の報道は厳しい。
高齢になると毎年球団が変わるのは宿命
「マーリンズは外野のレギュラーが決まっている。イチローは、いわゆるバックアップ要因だ」
つまり、レギュラーが故障などアクシデントがあった場合に使う、という位置である。昨年のヤンキースと同じような状態とみていい。
ちょっと前、青木宣親が14年のワールドシリーズを制したサンフランシスコ・ジャイアンツと1年、470万ドル(約5億6000万円)で契約したばかり。イチローはその半分にも満たない条件だ。
大リーグにおけるイチローの評価は決して低くない。ネックになっているのは41歳の年齢だ。いくら走攻守がよくても、常時出場の大きな期待はかけられないし、しかも長打力を求められる外野手とあればなおさらだ。
どんな優れた大リーガーでも、高齢になると1年ごとに球団が変わる。これは宿命で、より戦力の弱いチームにケースが多い。
日本に戻ってプレーすることは...
マーリンズの外野陣は20代の選手が3ポジションを占める。イチローの守った右翼には昨年の本塁打王(37本)スタントンがいるし、中堅は23本塁打のオズナ、左翼には21盗塁のイエリナがいる。
こんな中でプレーするイチローには、大記録への挑戦がある。大リーグ通算3000安打まで156本に迫っている。さらに日米通算となるが、ローズの持つ大リーグ記録4256安打まであと134本。
3000安打は超一流打者の証で、殿堂入りを確実にする数字だ。ただレギュラーで常時出場しないと1シーズンでの達成は難しい。2年契約が欲しかったところである。
昨年のヤンキースでは143試合に出場し、102安打。この数字も今季のマーリンズではかなり困難だ。しかもマーリンズはナ・リーグなので指名打者はない。より出番が限定される。
できれば指名打者のあるア・リーグ球団に入れば出場機会に恵まれるのだが、やはり年齢がポイントになったのだろう。試合に出れば活躍できる力はまだ残っている。イチローがそれをもっともよく知っているはずで、もどかしい思いなのではないか。
日本に戻ってはどうか、とアプローチした球団はある。しかし、イチローをよく知る人たちは「日本に戻ってプレーすることはない」と断言する。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)