「血で固められた同盟」だったはずの中国と北朝鮮の間に吹いている「すきま風」が、いよいよ激しくなりなりつつある。正恩氏の「外交デビュー」が、ロシアが開く第2次大戦勝利70周年の記念式典になりそうだからだ。
中国は現時点では静観を装っているが、軍事的にも北朝鮮とロシアは結びつきを強めているようだ。
モスクワでプーチン大統領、習近平主席と「連続首脳会談」?
ロシア国営のイタル・タス通信が2015年1月21日、ロシアのラブロフ外相の発言として伝えたところによると、ロシアが15年5月にモスクワで開く対独戦勝記念式典に正恩氏を招待したところ、北朝鮮側から「前向きな反応」があったという。
仮に式典出席が実現した場合、正恩氏が12年に最高指導者に就任して以降、初めての海外訪問になる。ラブロフ外相によると、現時点で20か国からの出席が確認されており、その中に中国の習近平国家主席も含まれているという。
正恩氏は、プーチン大統領、習近平主席と首脳会談を行ったことがない。モスクワでの式典出席の際、「連続首脳会談」が実現する可能性が出てきた。父親の正日氏が最高指導者として初の外遊で00年5月に北京を訪問し、江沢民国家主席(当時)と会談したのとは対照的だ。
一連の動きについて、華春瑩・副報道局長は1月22日の会見で、
「中国とロシアは双方の合意に基づいて、第二次大戦勝利70周年をともに祝うことになっている。両国は、互いが行う各種活動に指導者が出席する段取りについて議論しているところだ。北朝鮮もロシアも、中国の友好的な隣国だ。両国は反ファシスト戦争の勝利に多大な犠牲を払って貢献しており、一緒に祝うに値する。このような北朝鮮とロシアの交流は、地域の安定と平和に寄与すると信じている」
などとして表面的には歓迎している。だが、翌23日の会見で中国側の行事の予定について聞かれた華氏は、
「時間や形式、招待する人の範囲を含めて、現時点で発表できることはない」
と答弁。正恩氏が北京を訪問する予定は白紙のようだ。