資生堂が過去約100年にわたる社会・景気動向と女性の化粧の関係を調査したところ、景気が良くなると、明るい色の口紅や太い眉など元気なイメージのメーキャップがはやり、景気が悪くなると、眉が細くなるなど頼りなげな化粧に変わることが分かった。
同社は「女性の化粧は世の中の雰囲気を反映しており、女性の顔は時代の空気とともに変化しているようだ」と話している。
真っ赤な口紅とともにバブルへ
資生堂は1920年代から現代までの約100年間について、それぞれの時代に流行した目元や口元などのメーキャップの特色をあらゆる角度から詳細に分析した。
それによると、戦後の復興期である1950年代にはやったメーキャップは意志の強そうな角型の太い眉とアイラインでキリッとつり上げた元気な目元が大きな特徴。東京オリンピックで沸いた1960年代まで、そんな元気さが際立つアイメークのブームが続いた。
しかし、オイルショックやベトナム戦争などで社会や経済が混乱した1970年代に入ると、つり上がった目元はたれ目風に変わったうえ、眉は細く、薄くなっていったという。
一方、1980年代になると、眉は一転して太く、濃い色に変わり、強い印象を与えるメーキャップが女性たちの間で大流行した。口紅も鮮やかな色が好まれ、真っ赤な色がブームとなった。まさにバブル経済に突入する華やかで活気にあふれた時代だ。しかし、バブル崩壊後の1990年代後半以降、眉は急速に細く薄くなり、口紅も淡い色やツヤだけ出す透明のリップグロスが主流となった。