開発への道筋が見えてきた、夢の技術人工光合成 2022年に総合実証試験のスタート目指す

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

パナソニックとトヨタ自動車グループも取り組む

   こうした流れに弾みをつけたのが、2010年のノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大学特別教授。2011年1月に、国内の化学研究者ら100人以上を束ねて「人工光合成」の研究を始めると発表、国に働き掛けたこともあり、「国家プロジェクト」として2012年から文部科学、経済産業の両省が連携して10年間で約150億円の予算投入を決定。政府の総合科学技術会議が2013年夏に人工光合成を「環境技術革新計画」の重点研究分野に位置づけ、また、経産省が2014年夏に発表した「エネルギー関係技術開発ロードマップ」(19分野)の中で、人工光合成のみが具体的な実行スケジュールを書かれ、「合成触媒」の開発を先行させて2017年に実証試験を始め、2022年に総合的な人工光合成の実証試験に着手する――とした。

   実際の開発は民間で着実に進んでいる。2011~2012年にかけ、パナソニックとトヨタ自動車グループの「豊田中央研究所」(愛知県)などが、単純な有機化合物のギ酸を作り出すことに成功している。

   最近も技術開発に関するニュースは絶えない。2014年11月21日「日経」は、東芝が人工光合成で世界最高の変換効率1.5%を実現する材料を発見したというニュースを報じた。それによると、半導体と金の触媒を組み合わせ、一酸化炭素を得て、それを処理してメタノールなどを作るといい、この分野の国際学会で発表。さらに、パナソニックも、従来のギ酸と違い、直接燃料に使えるメタンを合成するシステムを開発、窒化ガリウムとシリコン製太陽電池を組み合わせた半導体を使って太陽光を当てて水から電子を生じ、そのエネルギーと銅を使った触媒を使ってCO2からメタノールを合成した(12月6日「日経」)――といった具合だ。これらの動きは、経産省のロードマップの「2022年実証試験本格スタート」という時間軸を意識していると見られる。

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