中国のスマートフォン・メーカー、Xiaomi(小米科技、シャオミ)の快進撃が2015年も止まりそうにない。
シャオミは「低価格」を武器に、2014年には販売台数ベースでサムスンを抜いて中国でNO.1を達成。世界でも第3位のスマートフォン・メーカーに成長した。しかも、創業からわずか4年というから驚きだ。
中国シェアでNO.1
調査会社の米IDCの2014年7~9月期のスマートフォン出荷台数・シェアによると、シェア1位は韓国のサムスンが23.8%(7810万台)だった。次いで、米アップルが12.0%(3930万台)、3位には中国のレノボを抜いて、シャオミが浮上。1730万台の5.3%だった。
シャオミの出荷台数は前年同期に比べて、じつに211.3%増にもなる。世界出荷台数が25.2%増の3億2760万台と増えたなか、一方のサムスンは首位を守ったとはいえ、8.2%も減らした。最近のサムスンの失速が、シャオミなどの中国メーカーの台頭によるものとされるのを裏付ける数字だ。
そんなシャオミの「武器」は「高品質・低価格」。たとえば、2014年7月に発売したフラッグシップモデルの「Mi4」は、5インチ液晶画面やソニー製の1300万画素のカメラを備えるなど、機能はアップルの「iPhone」やサムスンの「GALAXY」シリーズと遜色ないが、価格は1台1999元(約3万8600円)と半額以下。中国の若者のあいだで、まさに飛ぶように売れた。
そうしたなか、シャオミが「スマートフォンを安く製造できる理由」について、同社副社長のHugo Barra氏がTechCrunch Japan(2015年1月20日付)のインタビューに答え、「シャオミの低価格は機種を絞り込んでいることと、機種ごとの販売期間を長く取ることの組み合わせで支えられている」と説明した。
さらに、シャオミは新モデルを発表した後も、旧モデルとそれに改良を加えたモデルを値引き価格で販売していることも明かした。
シャオミのスマホの販売期間は18か月から24か月で、ほとんどのスマホについて「発売開始後3、4回値下げする」という。販売期間が長くなれば、シャオミは部品メーカーと再度交渉して値引きさせることができるからだそうだ。
もちろん、新機種をインターネット限定で販売したり、商品PRも広告費をかけずに交流サイト(SNS)による口コミを頼ったりといったコスト圧縮にも取り組んでいる。こうした結果が、「高品質・低価格」戦略を支えているというわけだ。
中国では、あまりの急成長ぶりに先行きを懸念する声もあるが、その勢いに衰えはない。
国内市場は「少量・多品種」採算とれるの?
一方、日本勢はといえば、毎年多くのスマートフォンやフィーチャーフォンを売り出している。国内メーカーによる、ここ数年間の「少量・多機種」化は著しい。年間販売台数が約4000万台とされる市場(2013年度)に、1年間で約100もの機種が発売されている。1機種あたりの平均販売台数は40万台程度とされ、機種数の増加がメーカーの採算を悪化させているのは明らかだ。
しかも、通信事業者の販売戦略の影響やアンドロイドOS搭載のスマートフォンの販売不振によって出荷台数は減少傾向で、国内携帯電話の出荷台数(2014年7~9月期、IDC Japan調べ)は前年同期比14.8%減の766万台、スマートフォンの出荷台数は24.2%減の521万台と、ともに3四半期連続のマイナス成長と伸び悩んでいる。
ただ、機種を減らすことは出荷台数の減少に直結するので、メーカーはなかなか機種数を減らせない事情もある。
シャオミと国内メーカーの違いについて、IDC JapanのPC・携帯端末&クライアントソリューション、木村融人シニアマーケットアナリストは、「簡単にいえば、市場の違いです。シャオミの強みは中国でしっかりと稼いでいること。なにしろ日本市場とは比べものにならない巨大な市場ですから、中国市場を制することができれば世界市場を制することも可能です」と説明する。
半面、日本の国内市場は消費者ニーズが多様化して、「メーカーはそれに対応するだけで手いっぱいで、機種を絞るような戦略をとる機会を逸してしまいました」と話す。競合も激しく、それによって、「こじんまりとまとまってしまった」ようだ。
インターネットにも、
「パクリはだめだが、機種を厳選するってのは賢い。ソニーのXperiaなどは種類増やしすぎて自滅してる」
「これについては正しいと思う。価格帯2つに絞ってそれぞれを徹底的に使いやすくすれば売れるはず」
「シャオミが使いやすいかどうかはしらんけど、ちっとは日本企業も参考にしてみるといい」
「日本の多品種、少量生産、高付加価値の敗北www」
といった声が寄せられている。