「コミケにイスラム国のブース」も「あり得る」
実際に「リクルーター」とツイッターで会話したというユーザーも現れた。経緯は不明だが、「イスラム国に参加したくはないか」という英語のメッセージが届いたという。「中国やフィリピン、インドネシアなど全世界から(戦闘員が)集まっている」「『首切り』の方法も教えるぞ」など、少々つたない英文だが次々に誘いの言葉を投げてきていた。最終的に断ると「ハハハ、単なる冗談だ。イスラム教徒でないとイスラム国には参加できない」との返答。このユーザーは一連のやり取りをまとめてネット上で公開し、「本当にSNSで勧誘しているというのが分かった」と感想を述べている。
ふたりのやり取りを見る限り、相手は友好的なムードを出しているような印象だ。しかし一方で、別の構成員のアカウントでは、
「日本とイスラム国は8585キロの距離がある。なぜ日本は、イラク軍への経済援助を通してイスラム国に宣戦布告したのか」
「日本政府と日本国民に告ぐ。人質が殺されるまで、あと24時間しかないぞ。これは冗談ではない」
と、こわもての面も見せている。硬軟使い分けて、日本人に揺さぶりをかけているのかもしれない。
今のところ、誘いかけは英語が主体だ。日本語が使われている場合も、ネットの翻訳機能を使ったような明らかに不自然な表現になっている。しかし今後、流ちょうな日本語で強引に勧誘してこないとも限らない。イスラム国はSNSだけでなく、自前のネットメディアで複数言語による情報発信を既に実現しており、オンライン広報誌まで発行している。相当レベルの高い情報戦を仕掛けられるスキルを持っているのだ。
日本で活動するジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は以前、動画配信サイトの生放送で興味深い発言をしている。2014年の8月25日の放送でイスラム国について触れ、その内容が本人のサイトに掲載されていた。イスラム国の構成員が説得力のある日本語を使って、日本社会をターゲットにしたらどうなるかとの問題提起だ。そこで同氏は、「コミックマーケットにイスラム国がブースを出すとしたら」と仮定する。突飛な発想と思いきや同氏は「あり得る」と主張。まさかの事態に「キター!」と大騒ぎになり、直接話を聞いてみると「案外いい人だった」と好印象を持ってしまったら――。
「日本でも勧誘の余地はある」と、ロバートソン氏は指摘している。