物価の上昇に家計の所得の増加が追いつかず
安倍政権は昨年末にまとめた緊急経済対策で「消費税率引き上げの影響を含めた物価の上昇に家計の所得の増加が追いついていない。低所得層や子育て世帯の家計や地方の中小企業に影響を及ぼしている」と、アベノミクスの失策を事実上認めている。厚生労働省によると、2014年度(4~9月)の消費者物価は前年同期比3.4%上昇したが、賃金は同0.4%の伸びにとどまった。2012~2014年度の累積では物価が4.0%上昇したのに対して、賃金は0. 1%のマイナスとなっている。
内閣府の試算では2015年度、消費者物価は2.5%上昇すると予想される。日銀も金融緩和で2%の物価上昇を目指しており、連合は今春闘で「2%以上」のベースアップを求める方針だ。
しかし、経団連はベアを容認するものの、物価上昇を上回る賃上げは「多くの企業にとって現実には困難」としている。このまま物価上昇を上回る賃上げが実現しなければ、アベノミクスが目指す経済の好循環は再び遠のくことになる。今春闘は政府主導の「官製春闘」(連合関係者)などと揶揄される中、果たして新年の経団連と連合の接近は局面打開となるのか? 1月下旬から始まる春闘の攻防が注目される。