自分が勘違いしたのに、「全部お前のせいだ!」
責任者から連絡を受けた機長は、すぐに飛行機を停止し、管制塔に許可を受けたうえで、ゲートに戻った。
しかし、趙顕娥被告は、それでも収まらず、「あんたも土下座して、きちんと謝罪しろ」と責任者に求め、責任者もそれに応じた。その間、趙被告は、マニュアルで乗務員の頭を叩いたり、肩を押したりする暴行を加え、「お前、降りろ」と迫った。
ところが、実際は、マニュアルは変更されており、ナッツを最初から皿に盛るのではなく、乗客の意向を確認してからになっていた。つまり、趙被告は、勘違いをしていたわけだ。
騒ぎで駆け付けた副事務長がマニュアルのナッツ提供方法を示し、趙被告も、それを読んで勘違いであることを理解した。しかし、趙被告は、責任者に対し、考えられないような「逆ギレ」の言葉を吐いたというのだ。
「お前が最初からちゃんと答えないから、その乗務員を叱ってしまったじゃない! 全部お前のせいだ! お前の責任だから降りなさい」
その後、責任者は副事務長に業務を引き継いで飛行機を降り、乗客247人が乗った飛行機は24分遅れでやっと離陸した。
こうした経緯が明らかにされ、日本のネット上では、「ウソがばれちゃった、ってか!」「なおさら酷かった・・・」といった声が出て、騒ぎにうんざりしたような反応も出ていた。
なお、趙被告側は初公判で、機内で乗務員に暴行したことを認め、「乗客や乗務員らに被害を与えたことについて痛烈に反省している」と述べた。しかし、責任者については、「不正確な記憶、あるいは意図的に誇張された証言をした」などと主張し、航空保安法違反の罪についても明確に否認した。