ナッツ・リターン事件を起こした大韓航空前副社長の趙顕娥(チョ・ヒョナ)被告(40)の行状が、起訴状などから分かってきた。それは、「逆ギレ」という表現がふさわしいものだった。
事件は、最高刑が懲役10年と重い航空保安法違反(航空機航路変更)の罪に問えるかを巡って争われることになった。趙顕娥被告の初公判が2015年1月19日、韓国のソウル西部地裁で開かれ、趙被告側が飛行機を止めさせたとき「飛行機は運行中ではなかった」などと否認したからだ。
飛行機が滑走路に入っても、「直ちに止めろ!」
ところが、検察側は、趙被告は明らかに運行中であることを認識していたと主張した。
韓国メディアなどがこの検察側の主張を示す起訴状の内容を報じており、日本のテレビでも、それを再現する寸劇を流した。
それらの情報を総合すると、趙被告は、離陸予定時刻の13分前に機内に入り、客室乗務員がナッツ類を袋のまま差し出して必要かどうか聞くと、「サービスの仕方は合っているのか?」と問い詰めた。
乗務員が「マニュアル通りのサービスです」と言うと、趙被告は、すぐにサービスマニュアルを持って来るように指示した。乗務員から報告を受けた客室サービス総責任者がマニュアルを持って現れると、趙被告は、「さっきサービスしてた奴を連れて来なさい!」と叫んだ。乗務員が前に来ると、土下座したうえでマニュアルでナッツの提供方法を調べるよう促し、乗務員が指示に従うと、今度は、提供方法も知らないなら飛行機から降りさせろと責任者に命じた。
そして、離陸予定時間になると、責任者が「飛行機は、すでに滑走路に入り始めていて止められません」というのにも構わず、「飛行機を直ちに止めろ!」などと繰り返した。これが、検察側が運航中であることを趙被告は認識していたと主張する根拠だった。