国の基準値の3.2倍の揺れが起こったかどうかは確認できない
NHKの取材に協力した日本建築構造技術者協会(JSCA)によれば、地震によって倒壊しそうな超高層ビルがあり心配だというものではなく、ビルが倒壊するにはどれくらいの揺れなのかをシュミレーションしたところ、国の基準値の3.2倍の揺れになればNHKのCGのような倒壊が起こるという結論に至った、ということなのだそうだ。また、上町断層帯については数千年以上活動していないため現在は地震が起きていないし、数千年以上前の活動でも国の基準値の3.2倍の揺れが起こったかどうかは確認できないという。
JSCA によれば、NHKが番組作りに使った調査資料は、65社の構造設計技術者たちが集まった研究会で作製したもの。07年11月に政府や大阪府が上町断層帯で地震が起こった場合の被害を想定したが、想定しただけで何の対策も取らなかったため、技術者たちが「少しでも被害を少なくしなければ」と5年前に立ち上げ、その成果の一つが国の基準値の3.2倍の揺れで倒壊するというシミュレーションだった。ちなみに阪神・淡路大震災の揺れは基準値の1.5倍にも満たなかったのではないか、と分析している。
「巨大地震がいつ来るか、建物は大丈夫か、などと心配しないようにするため備えが肝心です、というのが私たちの主張です。補強や、新しいビルを作るときに耐震強度は十分かなどに気を付けてもらいたいと思っているわけです」
とJSCAは説明している。