銀行の7割は総資金利ざやが縮小
運用利回りの悪化から、利ざやの縮小には歯止めがかからない状況だ。東京商工リサーチの調査によると、全国112行のうち、2014年9月中間決算の総資金利ざやが2014年3月期から縮小した銀行は約7割に上った。メガバンクは資金需要や比較的高い利ざやが見込める海外で貸し出しを拡大し、収益を伸ばす手があるが、国内での運用にほぼ頼らざるを得ない地銀の経営への影響は特に大きい。
契約者から集めた保険料を国債などで運用する生保も長期金利の低下に頭を悩ませている。業界最大手の日本生命保険は2月から、保険料をまとめて払い込む一時払い終身保険の保険料を値上げする。一定の期間がたつと払い込んだ保険料を上回る解約返戻金を受け取れるため人気を集めているが、長期金利の低下で契約者に約束した運用利回りを得にくくなっているためだ。他社も追随する可能性があり、日銀の異次元緩和の余波が保険商品にも及んでいる。
日銀が追加緩和を決めた2014年10月末の金融政策決定会合の議事要旨によると、金融政策を決める審議委員の中にも、一段の金利低下が金融機関の収益を圧迫することを危惧する声があったという。今後も超低金利の状況が続けば、総資金利ざやがマイナスになる「逆ざや」に陥る銀行が増えかねず、銀行業界では「体力のない地銀から再編に追い込まれる」との見方も出てきた。金融庁も金利低下が地銀の収益力に及ぼす影響について注視しており、「異次元緩和が地銀大再編の引き金を引くことになるかもしれない」との声が業界関係者の間でささやかれている。