スイスフラン暴騰の余波、「ユーロも対ドル、対円で急落した」
とはいえ、「スイスフランによる国内のFX投資家への影響は小さかった」と、前出の外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏はいう。
そもそも、国内のFX投資家がスイスフランを取引している人はきわめて少ない。取り扱っているFX業者が少ないこともあるが、2014年11月の売買高でみると、FX取引全体(570兆円)の1%にも満たない。
神田氏は、「スイスフランは日本円と同じで、世界的にみれば『安定通貨』です。低金利で、日本円とのペアでは儲けも薄いため、人気がないんです」と、取引が少ない理由を説明する。
ただ、それでは済まないのが為替相場。スイスフラン暴騰の動きは、他の通貨にも大きな影響を与えている。なかでもユーロは対スイスフランで急落したことから、ドルや円に対しても大きく値を下げた。
ユーロは、対ドルで一時1ユーロ=1.1580ドル近辺と2003年11月以来11年2か月ぶりのユーロ安・ドル高水準となったほか、対円では1ユーロ=135円80銭近辺と14年10月以来の円高・ユーロ安水準になった。
神田氏は、「国内の投資家にとって、むしろユーロ安の影響が大きかった。もともと円安が進むとみて投資している人が多いのでユーロ安に動いたことによって、損失を被った人は少なくなかったはずです」と話す。