NHKの新しい大河ドラマ「花燃ゆ」は、初回の視聴率が歴代ワースト3となって話題を呼んだ。2回目は、さらに視聴率が下がっており、今や1ケタ台もささやかれるほどだというのだ。
「花燃ゆ」については、発表当時から疑問や心配の声が数多く上がっていた。主人公が、明治維新の精神的指導者だった吉田松陰ではなく、その妹の文(ふみ)という一般には馴染みのない人物だったからだ。
16.7%、13.4%と下がり、1ケタ台も噂に
NHKでは、そうしたネックを解消したいと考えたのか、「幕末男子の育て方」といったキャッチフレーズで番宣を大量に流し、ドラマでは「イケメン俳優」も数多く起用した。
ところが、ふたを開けてみると、2015年1月4日の初回の視聴率は16.7%と、過去15年間においても最低に落ち込んだ。これは、54回を数える大河ドラマ史上で、「春日局」(1989年)の14.3%、「花神」(1977年)の16.5%に次ぐワースト記録でもある。
さらに、11日放送の第2話では、女優の井上真央さん(28)がヒロインの妹役として顔を見せたものの、番組の視聴率は、3.3ポイント落として13.4%にまで下がった。
平均視聴率で過去ワースト1の12.0%を記録した12年の「平清盛」でさえ、初回から1か月は17%台をキープしている。しかし、今回の「花燃ゆ」は、それも上回れないレベルでのスタートとなってしまった。
「花燃ゆ」について、ネット上では、「ドラマとしてはよくできてた」などと評価する向きもあったが、その内容について手厳しい声は多い。
「題材があまりにもマイナーすぎる・・・」「恋愛ドラマかと思った」「普通に吉田松陰主人公にすればええやん」
安倍晋三首相の地元・山口県が舞台になっているため、NHKがその意向に合う女性主人公にした結果なのでは、といううがった見方もあった。
「NHKとして1つの冒険」と評価も出る
今回の「花燃ゆ」は、大河ドラマとしてはどうなのだろうか。
放送評論家の松尾羊一さんは、忠臣蔵や信長・秀吉といったテーマでないと視聴率を上げるのは難しいといい、今回の「花燃ゆ」は、今後1ケタの視聴率に落ち込む可能性もあるとみる。
ただ、今や若い人はNHK大河を見ず、放送の積み重ねによる固定ファンが見る人の約半分を占めるだろうとして、その内容によらず視聴率が10%台半ばぐらいになってもおかしくはないという。
吉田松陰の妹を主人公にしたことについては、「NHKとしては1つの冒険をしており、僕はわりに期待しています」と明かした。女性主人公としては、平均視聴率が24.5%にまで達した2008年の「篤姫」のケースも松尾さんは挙げた。
「妹が明治の偉人たちとどう接したのか、そして、松陰がどういう教育観で偉人たちを育てたのか、人間関係のドラマから浮き彫りになることにファンは興味を持つと思います。確かに、NHKも言うようなホームドラマ的な要素はありますが、その中で、伊藤博文や高杉晋作といった見どころとなる人物も出てくるのではないでしょうか」
1月18日放送の次回第3話では、妹の文と後に夫となる幕末の志士、久坂玄瑞との出会いが描かれる。初回の視聴率がワースト1の「春日局」は、平均視聴率で歴代ベスト3となる32.4%の記録を残しており、「花燃ゆ」が今度どうなるか注目されそうだ。