アップルのスマートフォン「iPhone」を香港から中国に密輸しようとした男が広東省深センで逮捕された。男は94台の「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」を運んだのだが、その男の写真が公開されるとネット上で驚きが広がり、日本でも大きな話題になった。
その男はビニールとテープを使って体中に「iPhone」を鎧のように「装着」していたのだ。ロボットを彷彿とさせる姿に中国ではアメリカンヒーロー「アイアンマン」になぞらえ「アップルマン」などと呼ばれているという。
歩行が変で関節は硬直し筋肉が異常に緊張していた
人民日報の2015年1月12日付けの電子版によれば、この男は香港人。赤いスエットシャツと黒のズボンを着用した姿で15年1月11日、中国の出入国検査場になっている福田口岸から入国しようとしていた。
しかし歩く姿がまるでロボット。関節は硬直、筋肉が異常に緊張しているように見えた。それが税関職員の目に留まり、金属探知機のゲートの通過を促し通すと、機器が大音量のアラームを発した。税関の検査エリアに連れて行き体を調べたところ、ビニールとテープを使って胸、腹部、クロス、太もも、ふくらはぎに「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」が鎧のように巻き付けられていた。
その写真が公開されると中国では異様な姿に「アップルマンだ」などといった笑いが起こり、こんなバレバレの密輸方法ではなく「もっとスマートな方法があったはず」などと感想を漏らす人もいた。このように電子機器を個人的に密輸しようとした例が14年12月から約1か月間で18件あり、「iPhone」に関しては282台押収していると人民日報は書いている。
「iPhone 6」は30万円で売れるという噂も立った
中国に「iPhone」を持ち込めば高く売れるとして密輸が起きるのは今に始まったことではなく、新機種が出る度に繰り返されている。「iPhone 6」シリーズは14年9月19日に発売されたが、日本やシンガポールなどで発売前行列を作っていたのは中国人の転売業者が多いとして話題になった。中国でも「iPhone」人気が非常に高く、中国での販売がまだ始まっていなかったため、「iPhone 6」は日本円で30万円で売れるなどという噂まであった。
実際には「iPhone」の16GBは当初、61万元(約17万7000円)で転売されていたようだ。14年9月25日には上海の浦東空港で東京から訪れた日本人と中国人が大量に密輸しようとした疑いで、税関当局に摘発された。2人は7つのかばんに453台を入れて持ち込もうとし、端末の総額は200万元(約3500万円)超に相当すると報じられた。現在は中国でも発売が開始されていて転売価格は下がっているのだが、国内価格が高い上に携帯事業者と長期契約を結ばなければならないなどのデメリットから、香港からの密輸販売が続いているのだそうだ。