高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
景気対策、もっと増額すべきだった 円安による「隠れ財源」あったのに

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「過去最大」は作られた数字

   政府による消費増税の失敗だったのだから、政府の景気対策が筋である。本来であれば、14年度補正予算は10兆円規模で行うべきだった。

   財源は心配ない。円安によって外為特会では10~20兆円程度の含み益が出ているからだ。筆者は、補正予算で手当が出来なければ、15年度予算での特別枠などで対応することを期待していたが、出来なかった。こうなると、消費増税の悪影響は長引き、今年前半まで尾を引きずるだろう。

   新聞報道の「過去最大」というのは、たいした意味がない。景気対策の観点からは、もっと増額すべきだった。実は、冒頭に述べた予算フレームをみても、過去最大は作られた数字であることがわかる。(歳出の)国債費をみると、15年度23兆4507億円、前14年度23兆2702億円とほぼ同じだ。これは、ともに予算積算金利として1.8%を使っているからだ。これは、国債長期金利が0.3%程度と低いにもかかわらず、高い積算金利で予算をかさ上げしているからだ。このかさ上げした予算は、いずれ不用となって、年度内の補正予算の財源になる。実際、14年補正では国債費は1.5兆円減額され、補正予算の財源になっている。

   こうした予算の水膨れを直せば、簡単に総額は1兆円程度減額できる。それにもかかわらず、国債費を水膨れさせ「過去最大」を作ったのだ。外為の「隠れ財源」には一切ふれないで、国民生活の観点からみれば、実はシャビーな(みすぼらしい)予算である。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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