新春から放送が開始されたアニメ作品の中で最大の話題作と評判だった「艦これ」に批判が向けられた。そのためファンとアンチとの間に大規模な論争が起こっている。
「艦これ」は百数十人の美少女キャラが登場し、それぞれ第二次世界大戦などで活躍した空母や戦艦、駆逐艦などの「実名」が付いている。実名を使う以上は史実を考慮すべきだ、などといった指摘が出ると、「軍事ヲタクがファンタジーに絡んでくるな!」「現実とアニメを一緒にするな!」などといった反発が起こった。アニメはどこまで現実に近づけなければならないのだろうか。
戦争ゲームという認識で軍オタやミリオタが集まってきた
「艦これ」はもともとパソコン専用のプラウザゲームで、2013年4月23日にリリースが開始されると一気に人気が出た。あまりの人気にサーバーが追い付かず、プレイヤー登録も抽選となり、当たらなくて半年、1年と待たされる人も出た。登録できるのは18歳以上で現在の登録者数は230万人。関連書籍や音楽CDなどが発売されるとあっという間に売り切れる。
そんな「艦これ」だが、ゲームはというとプレイヤーが「提督」になり、大日本帝国海軍の艦艇の名前が付いた萌えキャラ「艦娘(かんむす)」をゲーム中で集めてそれを育成、敵と戦わせることで勝利を目指す。空母では翔鶴や蒼龍、戦艦では長門や陸奥、駆逐艦では白雪や五月雨、潜水艦では伊19や伊58など実存した軍艦が登場する。
ゲーム画面は非常にシンプル。各キャラの顔が描かれた船を模したと思われる板のようなものが編隊を組み、砲撃したり、戦闘機を飛ばしたり、魚雷を放ったりする。敵の攻撃で大破してしまった「艦娘」は服がビリビリに破れたり、中には半裸の状態でモニターに大写しになる。
アニメ化が決まった時にファンが最も心配したのが、「艦娘」がどのように描かれるかだった。例えば「艦娘」は自分の名前が付いた戦艦に乗り込み操縦するのではないか、とか、「艦娘」が戦艦そのものになって戦うのではないか、などといったもので、結果的にはゲームのイラストで描かれている通りに、「艦娘」一人一人が人間のキャラで、体に様々な武器を装着し敵を倒すために海に出る。履いている靴に何らかの装置が組み込まれている設定で、海での移動は海面を滑るように進んでいく。戦う相手は人類の海を制圧している「深海棲艦」と呼ばれる謎の敵艦船だ。
今でこそ「美少女動物園」といわれる萌え系のジャンルになってはいるが、実はゲームが始まった当初は戦争ゲームという認識もあり、軍事オタ、ミリタリーオタと呼ばれる人たちが軍艦の一つ一つを熱心に紹介したり分析したりしていた。