グループ内の連携によって「早期黒字化を図る」
しかし、シティバンクの個人部門は赤字体質とあって、買収を打診された他の大手行の多くは及び腰だったのも事実だ。SMBC信託銀は当面、シティのシステムを利用して、シティバンクが世界で展開するATM(現金自動受払機)での現金引き出しなどのサービスを継続する。その後も自前でシステムを構築し、サービスを提供し続けることで顧客離れを防ぐ考え。さらに、三井住友フィナンシャルグループ(FG)のSMBC日興証券がSMBC信託銀の顧客に資産運用商品を紹介するなど、グループ内の連携によってSMBC信託銀の「早期黒字化を図る」(車谷氏)という。
ただ、SMBC信託銀が思惑通りにシティバンクの顧客を囲い込めるかは見通せない。SMBC信託銀の体制強化に刺激される形で、富裕層向けビジネスをめぐる金融機関の間の競争にも拍車がかかりそうだ。後発の三井住友が存在感を示せるのか注目される。三井住友銀が今回の買収を機にシティとの連携を深め、日系企業の海外決済などの分野でもシティとの提携を狙っているとの見立てもあり、金融業界は今回の買収劇の行方を注視している。