動き出したアジアインフラ投資銀行構想 中国の国益第一になることを日米が懸念

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   中国主導でアジアのインフラ整備に資金を供給する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」構想が動き出している。日米は中国の影響力拡大への懸念から警戒感を募らせる。だが、アジアに膨大な資金需要があるのは事実で、経済力を高めた中国に押されているのが実態だ。

   2014年10月24日、北京の人民大会堂に21カ国の代表が集まり、AIIB設立の覚書に調印した。中国の習近平主席が13年10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の席上で提唱してからほぼ1年の合意は、日本の予想を超えるスピード。中国と南シナ海の島々の領有権紛争を抱えるベトナムやフィリピンも「領土と経済は別」とばかり加わり、この時点で調印しなかったインドネシアも、その後、参加を表明している。

ASEANのようなウィンウィンの関係目指す

   アジアの新興国のインフラ整備のために莫大な資金が必要なのは明らかだ。アジア開発銀行(ADB)は2020年までに域内で8.3兆ドル(約1000兆円)が必要になると試算している。

   こうしたインフラ整備は、当該国の成長に欠かせないのはもちろん、先進国などにも、市場としての重要性が増す新興国との経済関係強化の期待がある。つまり、新興国の経済発展の過程で、先進国などの企業が進出し、両国とも繁栄するという、従来からの日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)とのようなウィンウィンの関係だ。また、インフラ整備に直接絡む資機材なども含め、輸出拡大という思惑もある。中国がAIIBを呼び掛けた背景には「国内のインフラ整備が一段落し、増産増産でだぶつく鉄鋼やコンクリートの手っ取り早い輸出先を求めている面もある」(国際貿易筋)といわれる。

   いずれにせよ、これは中国に限らぬ世界的なテーマで、11月にオーストラリアで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、首脳宣言で、官民のインフラ投資を促すことの重要性をうたった。G20全体の国内総生産(GDP)を2%以上底上げするためにもインフラ整備が重要というのが共通認識なのだ。

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