スマホで国宝をリアルに鑑賞 文化庁「文化財オンライン構想」が進む

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現段階の情報提供館は145館にとどまっている

   ところが、「博物館の人員と画像デジタル化経費の不足から、所蔵品の撮影や画像著作権許諾が進まない状況にあり、現段階の情報提供館は145館にとどまっている」(文化庁)という。文化庁は日本を訪れる外国人観光客向けに外国語のサイトや旅行者がスマートフォンで気軽に検索できるシステムの開発を目指している。

   実際にサービスを行っている「e国宝」の使い勝手はどうか? 京都市の名刹、建仁寺が所蔵する桃山時代終わりから江戸時代初期に活躍した俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」を検索してみた。この作品は現在、京都国立博物館に寄託されているため、建仁時を訪れてもレプリカしか鑑賞できない。ならばデジタル高精細画像で鑑賞しようと、e国宝で検索してみたが、ヒットしたのは尾形光琳(1658~1716年)が俵屋宗達の作品を模写したとされる重要文化財「風神雷神図」だった。

   俵屋宗達の原画は京都国立博物館に寄託されているだけで、所有者はあくまで建仁寺なので、「4つの国立博物館が所蔵する国宝・重要文化財」というサイトのコンセプトに合致しないということなのか。ちなみに、同じ俵屋宗達の国宝「蓮池水禽図」(京都国立博物館所蔵)は掲載されている。

   文化庁は文化遺産オンライン構想推進のため、2015年度政府予算に1億3700万円を要求している。国家予算でアーカイブ化を進める以上、国民目線で使い勝手の向上に努め、親しまれるサイトにしてほしい。

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