店長から報告があったが、本社からは謝罪の言葉がなかった
とはいえ、日本マクドナルドの対応に、女性は納得いかなかったようだ。
店長から報告はあったものの、本社からは謝罪の言葉がなかったからだったようで、番組でも女性は「お客様サービスに電話したが、責任者には取り次いでもらえなかった」と証言している。
クレームがあった場合、事実を確認して、場合によっては調査・分析して原因を突きとめ、再発防止に努めるのは当然だ。しかし、どうも日本マクドナルドの対応は事務的に感じられたようにみられる。
釧路市内の店舗の場合でも、調査結果は「人の手作業によるところは少なく」「原材料に混入する可能性は極めて低い」とのことだった。ただ、女性は「(混入していたものが)私の歯だって言うんだったら、歯医者さんに行って証明してあげてもいいよって(伝えた)」ともコメントしており、自分のものではないことに自信を持っているようだ。
つまり、女性に、「それって、わたしが異物を入れたってこと」と思われてしまった可能性がある。
本来、こうした報告一つをとっても、その言い方で受け取る側の気持ちは随分と違うはずだ。
経営コンサルタントの大関暁夫氏は、日本マクドナルドの一連の対応について、「マニュアル主義というか、米国流経営の『落とし穴』にはまったようなもの」と指摘する。
この数年来、企業は効率化や合理化、収益主義といった米国型の経営スタイルを推し進めてきた。「マニュアル化された、効率化や事務的な対応が米国流の企業文化として根づいていますが、一方で日本人的な目に見えない部分というか、気持ちを大切にするところがすっかり抜け落ちてしまいました」と、みている。
日本マクドナルドによると、「お客様からの苦情やお問い合わせがあった場合の対応は、ケース・バイ・ケースなので、基本的には各店舗にまかせています」という。
ただ、「案件の用途に応じて、報告を上げていく仕組みをつくっています」と説明。たとえば、商品への異物混入のように調査・分析が必要なケースは、「必ず本部がその事実を把握できるような仕組みになっていますし、(1月7日の記者会見以降に発覚した異物混入についても)すべて報告を受けて、把握しています」と、強調する。