「女子力アップ」に「肌トラブルやダメージヘアのビューティーケア」。いまどきの女子小学生向けファッション誌には、こうした特集が組まれている。
おしゃれを追求する小学生の人気ファッションブランドともなれば、1万円を超える商品は当たり前だ。
「JSファッション」の人気専門店では2万円台の服も
新潮社の「nicola(ニコラ)」は、ローティーン向けのファッション雑誌。中高生に交じって、小学6年生の女の子がモデルとして登場している。最新号では、おしゃれな服に身を包んで化粧バッチリの小6女子が、何人も笑顔でポーズをとっている。姉妹誌の「ニコ☆プチ」は、読者対象を小学生に絞っているが、公式ウェブサイトに掲載されているバックナンバーの企画を見ると、おとな顔負けのファッション情報がぎっしり詰め込まれている。バレンタインデーに向けた「勝負ヘアスタイル」、日焼けや乾燥肌の対策、モデルたちの「お出かけバッグ」の中身、といった具合だ。
学研教育出版の「キラピチ」のサイトには、モデルが「女子力アップレッスン」としてヘアワックスやリップクリームといったアイテムを紹介したり、ネイルの基本を教えたり、「太らないためのカロリー一覧」として主な食事メニューのカロリーを掲載したりと、もはや小学生向けと思えないほどだ。
今や「JS」(女子小学生)にとって、おしゃれは当然と言わんばかりに、「キッズ脱毛」まで登場している。インターネット上で確認する限り、7歳から受けられるサービスがある。バレエや水泳といった習い事に通う子の中には「ムダ毛を気にする」ケースが少なくないそうだ。
2015年1月7日放送の情報番組「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)では、東京・原宿にあるJSファッション専門店「RONI」を取り上げた。案内役のモデルは10歳の小学5年生。ピンクをはじめカラフルで凝ったデザインの服が人気を集め、モデルコンテストを開けば1000人以上の応募があるそうだ。店内に陳列されているダッフルコートやスカート、カーディガンの価格は1万円以上で、中には2万円台の服もある。幼い子ども用のデザインではなく、おとなの流行がそのまま取り入れられているようで、本来はインナーの「ビスチェ」をシャツの上に着るといったおとなっぽい着こなしも紹介されていた。
行き過ぎに不安を感じる親も少なくない
いまどきの「JS」のファッション事情は相当進んでいるようだ。ただ、行き過ぎた場合に不安を感じる親も少なくない。
東京都在住の40代男性は、小学5年生の女の子の父親だ。「娘は、自分なりに『かわいい服』のこだわりはあるようです」と話すが、高額なブランド品を買うことはなく、量販店の衣料品で十分満足しているという。母親と一緒に美容院には行くが「家の近所の安いところ」だそうだ。仮に娘が「JSブランド」に関心を示したら、「周りの子がどうかによりますが、そうは言っても反対するかもしれません。ましてや脱毛など、とんでもない」とこたえた。
神奈川県に住む40代男性の場合、娘が小3で「精神年齢は幼児と同じ。おしゃれはまだ頭にありません」と明かす。今後成長したら、服の購入はある程度本人に許可するが「自分で判断できないうちはダメ」と述べた。
JSモデルにJSファッション専門店と、女子小学生のおしゃれを取り巻く現状にツイッターでは驚く人が少なくない。ツイートを見ると、小さいうちからおしゃれの感覚を身に着けておかないと成長してから全く分からなくなるのではという指摘が出た一方で、「うちの子もそういうのが欲しいとか言い出すのかなぁ」と心配する親の声も漏れてきた。