日本マクドナルドの異物混入騒動で、とりわけ消費者を驚かせたのが「人の歯」が入っていたとの苦情だろう。
マックフライポテトから人の歯が見つかったという大阪府の事例は大きな注目を集めたが、2015年1月9日には情報番組「モーニングバード!」(テレビ朝日系)など複数メディアが北海道でも類似の事例があったことを報じた。
長谷川豊「マクドナルドの方が被害者じゃね?」
被害を訴えたのは、釧路市在住の女性だ。8日にテレビ朝日に情報提供し、「モーニングバード!」のインタビューに応じた。その様子は9日の番組中で紹介された。
放送によると女性は14年9月3日、釧路貝塚通り店でハンバーガーやチーズバーガーなど4点を購入した。自宅でハンバーガーを食べていたところ、「人の歯のようなもの」が出てきたという。当日撮影したという写真には、大中小3つの白い塊が写っている。
「パクッと食べたんですね、そしたらガリッと。『うっ』という感じだった。最初は砂のかたまりかなと思ったんですよ。石かな、とか思ったり。で、全部出したんですよ、『これ危ないな』と思って」
すぐに店舗に電話すると、店長が家を訪れた。店長はハンバーガー代と同じ100円を渡して謝罪し、異物を持ち帰ったそうだ。後日、店長は調査結果を持って再訪。異物は「歯科材料」と判断したという。説明文書には「人の手作業によるところは少なく」「混入する可能性は極めて低い」との記述があったものの、混入経路の特定には至らなかったそうだ。
ネット上ではこれらの混入報道に「そんなに歯が入るわけねーだろ」「これはさすがにくさいなぁ」などと懐疑的な声も少なくない。元フジテレビアナウンサーの長谷川豊さん(39)は大阪の事例について8日のブログで言及し、悪意のあるいたずらである可能性まで指摘した。
「人間の歯ってさ、入るか?普通?」「どうやって入るわけ?何をどうやったら混入できるわけ?」などと疑問を投げかけ、
「これって...イタズラの可能性、無いか?普通に考えて。何、マクドナルドがずさんだ、的な流れの中でやってるの?常識から考えて、『本物の歯』だったことが確定している以上、これはマクドナルドの方が被害者じゃね?」
と訴えたのだ。とはいえ、この主張には根拠らしきものはほとんどない。
勘違いも少なくないようだが可能性はゼロではない
もっとも、歯や歯科材料の混入苦情は特段珍しいものというわけではないらしい。異物分析を行っている東洋産業(岡山県)は「しばしば検出される物質」だとして09年3月の月刊誌内で紹介している。
歯科材料のケースは「普段見慣れない形をしており、ぱっと見では分かりにくく、発見者の口内で外れたものであると推測されます」という。また歯については「お子さんの乳歯や虫歯でボロボロになった歯なども気づかれないまま、『食品に入っていた』と思いこまれる方も多いようです」と指摘している。
確かにこうした勘違いによる苦情は少なくないのかもしれない。とはいえ、製造・販売過程で歯や歯科材料が混入する可能性がゼロだと言いきることはできない。インターネット上でも、たとえば「有名パスタチェーンでニョッキを食べたら銀歯が出てきた。私は銀歯などなく、明らかに他人のものだった」といった報告があるように、信じがたい混入が起きているのも現実のようだ。
北海道の女性は「モーニングバード!」のインタビューに対し、歯が欠けたことはなく、詰め物もエナメルではないと説明したという。また「(混入していたものが)私の歯だって言うんだったら、歯医者さんに行って証明してあげてもいいよって(伝えた)」ともコメントしており、自身のものではないという大きな自信があるようだ。大阪府の女性も自身のブログで「もちろん、私のものではありません」と断言していた。
いずれのケースも混入経路の真相は藪の中だが、勘違いによる苦情とは言い切れず、マクドナルドへの風当たりは一層厳しくなりそうだ。