「勝ち組・負け組」に二極化していく可能性
一方で収入が広告料のみのユーチューバーにとっては、1再生当たりのレートを下げられたとすれば死活問題だ。シバターさんは、HIKAKINさんら3人だけがCMに起用されたことにも触れて「ユーチューブは、一部のトップにいるユーチューバーだけを持ち上げて、ほかは全員切り捨てるのか」と怒りをあらわにした。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、「レートが下がったという前提に立ち、あくまでも推測ですが」とことわったうえで、ユーチューブ側は、広く視聴者を集めるうえで活躍したユーチューバーが、その役目を果たし終えたと考えたのではないかと話す。自主的にユニークな動画を配信してアクセスを稼ぐユーチューバーは、「広告料を払って客を集めてくれる存在」だった。
サイトの知名度が上がって活性化すればさらに広告が増える好循環となり、ユーチューブ側としても都合がよい。ただ、もう集客段階が過ぎたのであれば、これ以上大勢のユーチューバーを抱えて広告料を支出し続ける必要はないと判断しても不思議はない。これからはサイトに登録したユーザーを放さないために、人気の高いユーチューバーだけを選別、優遇するかもしれないと井上氏は見る。こうなると「勝ち組・負け組」に二極化していく可能性は高い。
ただ井上氏自身は、「ユーチューバーは一時のあだ花に終わるのではないか」と考える。今は、素人ながら工夫を凝らして作り込んだ動画を無料で配信する点が受けているかもしれない。だが今後、同じような内容でもプロが制作し、有名芸能人が演じるようにでもなれば、歴然としたクオリティーの差が出てしまう。それでも生き残れるとしたら、その時は「セミプロ」のユーチューバーとしてではなく、プロの映像クリエイターとして配信を続けているかもしれない。