「ドラッグラグ」「デバイスラグ」をなくす
いわば、「仮免許」のような仕組みで、患者に使いながら効果が確かめられたら正式に承認される。従来、日本では医薬品や医療機器の承認が欧米より遅れる「ドラッグラグ」「デバイスラグ」が問題視されてきたことから、今後、再生医療分野で同じ轍を踏まないようにしようということで、一刻も早く最先端治療を受けたい患者には朗報だ。
製品化を急ぎたい企業も当然、大歓迎だ。実際に、2007年に承認されたやけど治療用の培養表皮の場合は、「医療機器」として審査され、確認申請から承認まで7年かかった例もあり、この期間が半減するとの見方もある。早期承認で企業は治験の費用を抑えられる。
すでに法施行を先取りして、医療機器大手テルモ(東京都)は10月末、重症の心臓病治療のため自分の足の筋肉の細胞をシート状に培養して貼り付ける「細胞シート」を、再生医療製品として承認申請。医薬品メーカーのJCRファーマ(兵庫県)は9月、骨髄移植などの免疫異常回復に使う細胞製品を申請した。バイオベンチャーのテラ(東京都)も、がん免疫療法で用いる細胞の治験を2015年から始め、早期承認を目指している――と言った具合だ。