「口の中に硬いものを感じたが、吐き出したらネジだった」。ワタミのグループ会社が高齢者に届けている宅配弁当に、こんな事例があったことが分かった。異物混入が相次いでいるが、どうなっているのだろうか。
ワタミの宅配弁当では、イモ虫が混入していたと、週刊文春が2014年1月30日号で報じていた。今度の混入報道も、その文春だった。
「工場内でネジが混入した可能性は低い」
15年1月8日発売号によると、四国地方の営業所で働くワタミの社員がネジ混入を文春に告発した。山口県内の工場で14年10月29日夕に製造された「まごころおかず」弁当で豚肉の煮込み料理に金属製のネジが入っており、30日に配達されて弁当を食べた高齢者が、翌31日に次の弁当が配達されたときにワタミ側にクレームを入れたというのだ。ワタミでは、同じ日製造の弁当を回収しなかったが、客が食べてしまってできなかったと文春の取材に答えている。
その後、ワタミでも調査が行われ、品質保証室が報告書をまとめた。報告書によると、工場内では、機械などから脱落して床に落下していたネジが見つかったものの、混入ネジと同様なものは出てこなかった。しかし、告発社員は、混入経路といった原因にはまったく踏み込んでいないとして、社内の内部通報窓口で再調査を求めた。その後も調査結果は知らされず、四国地方担当の上司を口頭注意処分にしただけで済ませたと指摘している。
その後のマスコミ報道によると、ワタミでは、弁当にはX線検査もしており、工場内でネジが混入した可能性は低いと説明した。第3者が故意に入れた可能性もあるという。
ワタミの宅配弁当を巡っては、文春は、異物混入が相次いでいるとも指摘している。
毛髪やビニールなど混入認めるも、「頻度は答えられない」
イモ虫混入を報じた文春の記事によると、ワタミの異物混入報告書では、毛髪やビニールなどの弁当混入が頻繁に見つかっているとの記述があった。ワタミの弁当製造業者社員は、文春の取材に対し、毎月100件近く異物が見つかっていると証言したという。
イモ虫については、13年12月4日に埼玉県内の工場で製造された弁当に見つかり、調査の報告書では、惣菜に使われた白菜に着いていた可能性が高いとの記述があった。
今回ネジ混入が分かった工場でも、14年10~11月に毛髪や草の茎の混入が見つかったと文春は報じている。
ワタミの広報グループでは、ネジ混入について、スタッフが配達中にも考えにくいとJ-CASTニュースの取材に説明した。
「工場で宅配弁当にビニール状のふたをしますので、スタッフが破くのは現実的ではありません。高齢者の方がいないときも、カギ付ボックスで玄関先に置きますので、だれかがイタズラして入れることもできないと思います」
同じ工場の弁当を出荷停止にしたり、ネジ混入を公表したりしなかったことについては、「製造工程での混入の可能性は極めて低く、ほかのお客さまからもネジ混入の指摘がなかったためです」と説明した。
また、この工場で毛髪や草の茎の混入があったかについては、事実だと認めた。ほかの工場でも、毛髪やビニール、植物片の混入が過去にあったことは認めたものの、どのくらいの頻度であるのかついては、「公表していませんので、お答え致しかねます」と言っている。